花歌う、君の空。

【湊 side】


『大丈夫、大丈夫だよ……私が、ずっと傍に居るからね……』


泣きそうになってるのはそっちの癖に、何度も『大丈夫、大丈夫』と壊れた玩具のように繰り返して、俺を抱きしめた。

俺も上手く力の入らない腕を必死にその華奢な背中に回した。

言葉をも忘れて、縋るようにただひたすらに、その華奢な肩に頬を寄せた。

あの夜の、夢。










「……………久しぶりに…見たな」




瞼を開いて一番に視界に飛び込んできたクリーム色の見慣れた天井は、間違いなく自宅の、自室の天井で。

さっきまで見ていた光景は夢なのだ、と念を押すように薄いカーテンから朝の光が飛び込む。


さっきまで二人で見ていた星は消えていた。




また夢を見た。

どんな運命にだって、勝ってみせると本気で思ったあの夜の夢を。