「──梨奈!ごめん先帰ってて!」 弾かれたようにそう言い、勢いよく椅子から立ち上がった。 梨奈の「はいはい頑張ってね」と言う優しい言葉を背中に受けながら、乱暴にリュックを背負って教室を飛び出した。 ………ちゃんと伝えたい。 あの湊くんがそんなに緊張しても私に声を掛けて来てくれたこと、すごく嬉しかったって。 私もずっと話してみたかったってこと…。