2118年春。

白色の生地に金で型取られたブレザーに身を包んだ生徒達がいつにも増して高い声で桜並木の先のお城のように大きな建物に向かって歩いて行く。

そう今日はここ、国立術師育成高等学校、
通称、術高の入学式なのだ。

その中で一際目立つ少女がひとり。
雪のように白い肌
髪は漆黒のように黒く、瞳は空のように
青く、唇は桜のようなぷっくりとした…
そう、それはまるで人形のような…

「ねえねえ、見てあの子。かわいー!」
「ほんと、すごく美少女!」

少女の周りは野次馬が増えていくばかりで
一向に減らない。

しかし、少女はそれが無いのかのように美しく髪をなびかせて歩いて行くのだった。


少女の名前は、月姫杏李 kaguya anri



この物語の主人公である。