公園の中にあったベンチに腰かければ、繋いでいた手はさらに強く握られた。
「何があったか、聞いてもいいか?」
遠慮がちに向けられた視線。
全く。バカのくせに気を遣うんだから。
けど、今はその遠慮が私にはありがたい。
咄嗟に大志を呼んだ割には、どう説明すればいいのか分からなかった。
お客さんからセクハラにあった、とか…?
言い回しをぐるぐると考えても、上手い言葉が見つけられない。
「その…ね、大したことじゃないんだけど」
「うん」
一度息を吸って、吐く。
手に感じる大志の体温に安心しながら、私はゆっくりと口を開いた。



