「うわっ」
藤田さんが驚いて手を離した隙に、私はその場を離れた。
レジに逃げ込んで、松永くんに話しかける。
「…あのお客さん、お水零しちゃったみたい。ふきん出してあげてくれる?」
「あ、うん。了解」
松永くんもよく分かっていないまま、私の指示でレジから離れてふきんを藤田さんに届けにいく。
それを横目で確認しながら、私は今来たお客さんの対応をした。
……まだ足に感触が残ってる。
手も震えてしまっていて、上手くレジのボタンが押せない。
それでも、なんとかそのお客さんの対応を終えると、私は松永くんにワガママを言って藤田さんが帰るまでホールの接客をお願いした。



