好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。




が。



「舞ちゃん、お水もう一杯もらおうかな」

「…かしこまりました」



今日の藤田さんは、何故か特別しつこかった。



来て最初に注文したサンドイッチと珈琲はもうとっくに無くなっているのに、お水だけで粘ること2時間。




「ね、桐原さん。あのお客さん長くない?」

「…やっぱり松永くんもそう思う?」



今日のシフトが同じである松永くんも不審に思い始めている始末。



けど、どうしても言えなかった。


あの人の視線が気持ち悪い、だなんて。




だって、自意識過剰みたいになるし。


それに何より、CATの人に迷惑をかけたくないから。



お客さんとのトラブルなんて、嫌でも周りを巻き込んでしまう。