「何ムッとしてんだよ」 「してないもん」 「してるじゃん」 覗き込んでくる大志にドキッとする。 あーもう、だから近いんだって! ──────グイッ 「っ、何だよ急に」 「行こ!」 急に手首を掴まれたから驚いたんだろう。 照れを隠すように、私は大志の手首を引っ張って家を出た。 「ちょ、舞!」 「何よ!」 照れた顔を見られたくなくて進んで歩いたのに、バカな私は大志に名前を呼ばれて喧嘩腰に振り返る。