「な…っ」
赤面する私とは裏腹に、スースーと寝息を立てて眠っている目の前の想い人。
無意識でこれは、ずるい。
辛いのか、時折ぎゅっと力が込められるその手は、いつも私の頭をぐしゃぐしゃに撫でる力強い手とは正反対で。
「何熱なんか出してんのよ…バカ」
離そうと思えば簡単に離せるその弱々しい手を、私は振りほどけなかった。
「まい…」
「…っ、」
不意に名前を呼ばれ、思わず身体がビクッと反応してしまう。
けど大志の顔を見ればまだ眠っている様子で。
「すき、だ」
「…〜っ!」
それなのに、はっきりのその口から紡がれた言葉に酷く胸が甘く疼いた。



