「……君まで謝る必要はないんじゃない?」
「…いや、なんとなく」
「クスッ、律儀な男だな」
ポン、と俺の肩に置いた加賀さんの手はどこか力強くて。
「もう2度と彼女を泣かせるなよ。いつでも攫ってやるからな」
「望むところです」
それからフッと笑うと、舞の頭を一度だけ撫でてから仕事へと戻って行った。
あの人が舞に出した条件というのは、俺と仲直りして笑顔を見せること、だったそう。
それがどうやらクリア出来たと見なされたらしく、加賀さんは思いの外あっさりと手を引いてくれた。
…まぁ、皮肉は凄かったけど。