好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。




そのドラマは、前に大志が私に紹介してくれたドラマだ。


夏休みに再放送をやると言っていたから多分間違いない。



どこを行くにも、あいつの影がチラついてしまう。





はまったドラマも、よく聴く音楽も、全部大志が私に教えてくれたものばかりだ。




趣味だけは合わなかった私と大志は、よくお互いの好きなものを教えあっていたから。


おかげで、興味のなかったはずの洋楽を口ずさむようになってしまった。





「お待たせ、桐原さん」

「…!」


無意識にそのドラマの主題歌を口ずさみそうになった時、後ろから声をかけられた。



にこりと笑う加賀さんが立っている。