好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。




***



それからどのくらい経ったんだろう。




「…い、まーい!舞!」

「…ん」


私は、心地のいい低音に名前を呼ばれ目を覚ました。



保健の先生が外勤で空っぽな保健室。


いつの間にか眠っていた私の顔を覗き込んだのは、……大好きな人で。




「…っ、」


さっき必死に溢れないで耐えていた涙が、再び溢れ出しそうになってしまう。




「大丈夫か?もう放課後だぞ。歩けそう?」


私を、大志が心配してくれている。



それがどうしようもなく嬉しいのに、愛おしいのに。


こいつの私への優しさは愛情じゃなくてただの友情だということが、無性に苦しかった。