一瞬、聞き間違いかと思ったけどそうじゃない。
「よく見たら君可愛いし、他の男に渡すのはもったいないよね」
大志は、明らかにその子にOKを出している。
「……っ、」
やばい。
泣きそうだ。
ずっと耐えてきていたはずの涙が、今にも零れ落ちそうなほどに溢れ出す。
もうこれ以上聞いていたくなくて、私はその場を立ち去った。
やっぱり、私はいつもの遊び相手だったんだ。
遊びでもいいから相手にしてもらいたくて変わったというのに、今の私はとんでもない欲張りで。
資料を教室に運んだ私は、午後の授業に出る気力もなくて保健室へと駆け込んだ。



