「大志くん」
「……っ!」
図書室の前を通った時、不意に大志の名前を呼ぶ女の子の声が聞こえた。
重い資料を持っているのに。
こんな所で大志を呼ぶ女の子の声が聞こえるなんて、私にとっていい展開じゃないことくらい分かっているのに。
バカな私は、その場に立ち止まってその会話を盗み聞きしてしまう。
何やってんのよ、私のバカ。
そうは思っていても、気になるものは気になってしまうから仕方ない。
「あの、大志くん…。好きです…っ」
そして案の定、その女の子の口から大志への想いを伝える言葉が飛び出した。飛び出してしまったんだ。



