「今の俺ら、距離凄い近いんだけど」
「へ?……──っ!!」
「あ、今気付いた?」
大志のその言葉に我に返ってボールばかり見てた視線を少しあげれば、目の前には大志の顔。
…っ、近。
その距離は、バスケットボール1個分もない。
ボールばかり追いかけて、距離を詰めちゃってたんだ。
それにすら気づかないだなんて、私って本当にバカ。
「あ、赤くなった」
「う、るさい…っ!」
完全に停止してしまった身体。大志を見上げたまま赤くなる顔。
あぁ、もう。こんな些細な距離なのに。
どれだけこいつが好きなんだ、私は。



