「よ…っと。やーい、下手くそー」
「うるさいっ」
「ははっ、頑張れ舞ちゃーん」
コートに入った私は、大志の手にあるボールを取るのに必死。
というか、全く取れない。触ることすらできない。
ドリブルで移動してる訳でもないのに、クルクルとボールを自在に操って私の手から逃れる。
「ほら、こっちこっち」
「もうっ!なんで取れないの…!」
完全に大志に遊ばれてる。
それが分かってるのに、大志からボールが奪えないことが悔しかった。
「舞、気付いてる?」
「、何?」
こっちは必死だというのに、余裕な大志は私に話しかけてくる。



