「まずここが違うし」

「は?なんで?」

「これは…────、」


朝のHRが始まるまでの短い時間で、手っ取り早く説明をする。




大志はバカなくせに勉強をよくする努力家で、私よりも成績はいい。悔しいけど。


でも、そんな大志も数学にはどうやったって勝てないらしかった。



だから毎回、数学だけは得意な私に解き方を聞いてくる。


これは、中学の頃からの安定のスタイル。




「で、こうなるわけ。分かった?」

「うーん、多分?」

「多分かい」



せっかく分かりやすく説明したつもりだったのに、どうやらこのバカには伝わっていなかったらしい。