それから、私達の奇妙な関係が始まった。
学校では、絶対江川くん、百合野さん、と呼び合い、必要なこと以外まったく話さなかったが放課後になると、別々に私の家に向かった。
そして、私の部屋で愚痴を言い合う。
私の部屋での航はでろでろで、よく泣いていたしすごく甘えていた。
私もだんだん、航の前でしか見せない態度が増えてきて、いつの間にかお互いに必要不可欠な存在になっていった。
私が航を好きになるのにそう時間はかからなかった。
顔じゃない、性格に惹かれたのだ。
でももちろん、「絶対好きにならない」とかあんな大声で言っちゃったし、今航が私のそばにいてくれるのは航に惚れてないからだと思うと何も言えなかった。
だから私は、高校は県外に出て寮に入ることにした。
じゃないと、どうしても航に会いたくなってしまうから。
