航とは、中学のとき生徒会で知り合った。
噂とか、恋バナとかに縁が無かった私は、選挙が終わり、本格的に生徒会が始まる日まで航の存在を知らなかった。
生徒会室のドアを開けた瞬間、その美しさに衝撃を受けたのを覚えている。
「書記の、百合野、かなです。あの、あなたは…?生徒会の方ですか…?」
とりあえず自己紹介をすると、驚いた顔で見られた。
「俺のこと、知らないの?」
途端に頭にきた。
はぁ?いくらイケメンだからって調子のんな、世界中の人間が自分のこと知ってると思ってんのか?
「…はぁ。知らないですけど。」
「ふっ、あははっ!
ごめんね、ちょっとびっくりしちゃって。
俺、江川航。広報だよ。よろしくね、百合野さん。」
それが航との忘れられない最初の出会いだった
