むわっとした湿気が身体中にまとわりつく。

雨の日の満員電車ほど居心地の悪いものはない。隣に立っているサラリーマンの傘も居場所に困っているようで、電車が揺れるたびに私のスカートの裾に当たった。

身動きができない車内では仕方がないことなのだろうけど、その感触がとても嫌だった。

最寄り駅に着き、すみませんと言いながら人を押しのけ、やっとの思いでホームに降り立った。

外の空気はひんやりと冷たい。
それが心地よくて新鮮な冷たい空気を胸いっぱいに吸った。

歩くたびに濡れたスカートの裾が足に張くが、人が詰め込まれた箱の中にいるよりはマシだった。