ピピピピピピ




「ふぁぁぁぁぁ」




いつものように両手をあげて背伸びをする。




…あれ?なんか腕が痛いなぁ。またいつものやつか。後で伊丹さんにお願いしとこっと。




………ハッ!!そうだ!時間!!




昨日の失態を思い出し、サッと時計に目をやる。




短い針は6を指し、長い針は12を指している。




「ふぅ。良かった!全然大丈夫だ!これで私の体裁は守られた!これで宿題を倍にされることもない!良かった!湯買った!」




コンコン。




「心美様、おはようございます。朝食の支度が出来ましたので、着替えを済ませてお越し下さい。それから、『湯買った』ではなく、『良かった』です。」




「お、おお!おはよう伊丹さん!朝からツッコミありがとう!流石は伊丹さんだ!私の間違いを正してくれる人はこの世で伊丹さんしかいない!!」




私を起こしに来てくれたであろう伊丹さんの見事なツッコミに感心しながらゆっくりと立ち上がった。




ふらっ、




途端に足がふらつく。




倒れそうになるのを必死にこらえ、




「伊丹さ~ん!いつもの薬出してくれない?朝食の後に飲むから~!」




「かしこまりました。では、一階までお手伝いさせて下さい。」




そう言うと、伊丹さんは部屋のドアを開け、私の横に来て体を支えてくれる。




「いつもごめんね~。私の体は寝るのが好きみたいなんだ~テヘッ」




「存じております。あまりふざけすぎないで下さい。私はいつも心美様だけを頼りにしているのですから。」




冗談を言うのが私の生き甲斐でもあるのに!冗談が言えなくなったら私…私…




もうチャーハンさんと話が出来なくなるぅぅ!!それだけは!それだけはだめだ!チャーハンさんは私の為に大嫌いなウインナーを自分の中に入れてくれたのに!合体してくれたのにぃぃぃぃ!!




そう思いながらも、伊丹さんの真面目な顔を見るとどうも困る。何も言い返せない。言えるはずもない。仕方ないじゃないかぁ。




「大丈夫。何も変わらない。絶対に変わらないから」




私は絞り出すように言葉を出した。