千秋の結婚式は友人達も多く、暖かくとても良い式の中で、千秋の笑顔は幸せに溢れていた。

 
 ユウは式の後、フロリダとニューヨークを周り、一週間後、千秋の居るロスへ戻った。

 千秋の妻エミリは、可愛らしい上にしっかり者で、さすが千秋が選ぶだけの事はあると思った。


 ユウがイタリアへ帰る前の日、千秋とエミリがどうしても見せたい物があると、車でユウを校外に誘った。

 そこには、エミリの祖父の別荘だと言うお城があった。

 それはとても古く綺麗な作りで、ユウは隅から隅まで見て回った。

 本当に楽しかった。

 三人は笑い絶えずに、お城でのひと時を過ごした。


 まさか、この後恐ろしい悲劇が待ち受けているとは、誰も予想などしていなかった。


 少しお腹が張るというエミリを後部座席に千秋と座らせ、ユウが運転をし自宅へと向かった。


 ハイウエイを下り、一般道へ出た時だった。


 やけに後ろのトラックがフラフラしている事が気になったが、信号が赤になったのでユウはゆっくりと車を止めた。


 しかし、うしろのトラックはそのままユウの運転する車に突っ込んで来た。


 激しい衝撃音が響き、辺りを騒然とさせた。