ユウには大学時代親友と呼べる男が居た。
長谷川千秋(はせがわちあき)、ユウと同じ大学に通っていた。
ユウも千秋も大学でも目立つ顔立ちで、二人の姿を女子達がチラチラ見ては話かけてきて、二人の周りにはいつも人だかりがあった。
ユウは明るく皆を笑わせる役目で、千秋は落ち着いて適切な判断が出来、皆をまとめる力があった。
二人は本当に気が合い、自分たちの夢や将来の話もよくしていた。
大学を卒業すると同時に、ユウは夢であった建築デザインの仕事をしたいとイタリアへ。
千秋は父親の旅行会社を息子だと明かさずに、すべての支店を回って勉強したいと、それぞれ日本を旅立った。
ユウと千秋は連絡の耐える事は無く、千秋の赴任先の国へユウも行くこともあった。
三年程経った時、千秋からロサンゼルスに居るという連絡が入った。
それと同時に、金髪の可愛らしい女性と一緒に写っている写メが送られてきた。
結婚しようと思う。
来年には父親になると添えられていた。
大切な友が結婚する事が心から嬉しかった。
しばらくすると、結婚式の招待状が送られてきた。
ユウは結婚式に出席する為に休暇をとり、せっかくだからロスで建築物の勉強もしてこようと考えた。
ユウの仕事は大変であったが、充実した時間を過ごし、建築家からの評判も出てきた頃であった。


