「夕食に、サンドキャッスルディナーショーはいかがでしょうか?食事も落ち着いて召し上がれますし、マジックショーの世界に入り込んでしまって楽しいですよ。二日目は、ミクロネシアダンスショーとBBQなどいかがですか?」

 と真矢が説明をしていると……

 そこへ大輔が割り込むように言った。


「お泊りのホテルの中華レストランが美味しいですよ。特にあんかけチャーハンがシーフードたっぷりでおすすめです。ご心配ならミールクーポンもありますし、日本語のメニューもありますから」


「そうそう、エビチリが美味しくて‥」

 と、思わず真矢も言ってしまった。


「ホテルの1階にある洋食レストランのランチのシーフードカレーも魚介たっぷりで美味しくて」

 続けて真矢が説明を始めるが……

 
「シーフードだったら、隣のホテルのレストランのシーフードビュッフェだろ?
 目の前で調理してくれるし、ブッフェなら安心して好きなだけ食べられますよ。」

 また、大輔が割り込んで話だした。


 
 二人の会話を聞いていた田口夫妻は顔を見合わせて、笑いながら言った。

「まるで、あなた達が旅行するみたいね」


「すみません」

 大輔と真矢は顏を赤くして頭を下げた。


「いやいや、二人の話を聞いていたら旅行が益々楽しみになってきたなぁ。営業上手ですね」

 田口氏が冗談まじりに言った。


「お二人初めての海外旅行でしたら、添乗員付きのツアーもございましたのに」
 
 大輔が、不思議そう聞いた。


「大丈夫です。お泊りのホテルはうちのツアーデスクがございますのでいつでもご相談を伺えますし、グアムのガイドの山下にはすでに話をしてあります。シーズンオフで混雑も無いので、出迎えから見送りまで責任を持って案内させて頂きますので、ご心配はいりません。
 団体行動で皆さんに合わせてのツアーより、奥様の足の具合を考えますと、個人旅行手配が良いかと思いまして」
 
 真矢が、適切な説明を淡々と口にした。


「そうか、わかった」

 大輔も納得したようだ。


 夫妻はツアーのオプションも決めて、日程表を大事そうに抱え、何度も頭を下げ帰っていった。


 真矢と大輔は、ゆっくりと歩いて帰って行く田口夫妻の後ろ姿を見送った。