梨花は真矢に無駄な話をしてこなくなった。

お客様との話にも同席させて欲しいとも言って来た。


真矢は、女子大生のハワイ旅行グループの、いくつものブランドの店の問い合わせに苦戦していた。
 
 「あの…… これ見て頂けますか?」

 梨花が、真矢の机の前に、クリアファイルに入った資料を差し出してきた。

 地図らしき物に、店の名前やバーゲン期間が丁寧にまとめられていた。


雑誌やネットからだけしゃ分からない詳しい事まで書かれている。



「これどうしたの?」

 真矢は驚いて梨花を見た。



「ハワイに一年ほど留学していたんです。良かったたら参考にして下さい」

 梨花は軽く頭を下げた。


「ありがとう。きっと喜ぶわ」

 真矢はほほ笑んだ。

 うれしそうな顔をした梨花に、初めて大人の笑顔を見たきがした。


 梨花は真矢だけでなく、他の社員の手伝いや雑用も進んでやるようになっていた。



 
 梨花の姿に、大輔の為でなくお客様の為に仕事をしているように感じた。