風と今を抱きしめて……

 真矢と陸の住むアパートは1LDKで陸と二人で住むには十分の広さだ。

 白を基調とした日当たりも良く明るい。おもちゃや保育園で書いた絵など飾ってあり生活感がある。

 真矢は部屋に入ると、慌てて散らかっているおもちゃを片付け大輔を部屋に入れた。



「手を洗ってうがいして。」

 真矢の声に、大輔はふっと笑みをこぼした。

 陸が大輔を洗面所へ連れて行き、手洗いとうがいを得意げに教えている。



 大輔が部屋に入ると、忙しそうに真矢は食事の準備を始めた。

 陸が大輔に買ってもらった飛行機のおもちゃを持ってきて、大輔に遊んでくれとせがんだ。


 大輔と陸が遊びに盛り上がっていると

 「ご飯出来たわよ。おもちゃ、片付けていらっしゃい。」

 真矢の声が響いた。


「はーい」

 大輔と陸が同時に返事をした。

 その様子を見て真矢は、ふっと笑った。


 本当にうどんだけだったが、肉や野菜がしっかり入っていた。


 うどんを口にした大輔は……


「旨い……」


 と、噛みしめるように言った。