電車が来るというアナウンスを耳にした私は少し名残惜しく彼を見上げる。 「じゃあね」 「泊まってい、」 「いきません!」 ばかじゃないの!?いい雰囲気だったのに! 「冗談だって。じゃ最後にアレ言って」 「アレ?」 「今日はなんの日だ!」 ……。ああ。 「Trick or Treat……?」 「はい、口開けて~」 「は?え、なんで!?」 「いいから~」 そして、口の中に広がる甘い味。 それは私の口の中に留めることなく、彼の口の元へ戻っていった。 「これくらいいいでしょ?間接キス」