嘘ツキが咲う


「そうですね。」

「じゃあ、帰ろうか。」

屋上のドアの方を向き、先輩が歩き出す。

きっと、最後になるだろう。
先輩は私と仲良くしなくなる。

私が先輩を好きになったから。

「はい。」

まだ冷たい春の風は私の涙をさらって通り過ぎた。冷たいけれど優しくも感じる風。
その風に背中を押された気がした。

伝える勇気はない。先輩を困らせたくない。
傷つくのも怖い。
でも、これからはどこを見ても先輩はいない。早くそんな生活になれなきゃいけない。
きっと泣くと思うし、
前に進むのなんて時間がかかると思う。

だから、今だけは。

先輩と離れてしまう残り少しの時間。
私はずっと笑っていたい。
可愛さなんて欠片も無い、最後の悪あがき。



こんなどうしようもない後輩だけれど
どうか先輩に覚えていてもらえますように。