嘘ツキが咲う

「もう、帰りましょうか。」

震えた声を誤魔化すように笑う。
先輩のこと、諦めれるかな…。
自信ないなぁ。

「え、さくちゃん用事あったんじゃ…」

“第2ボタンください”って
言ってみようと思ってた。
それで玉砕して、キッパリと忘れようって。

「大丈夫です。先輩は人気者なので、
最後くらいふたりで話したいと思っただけなので満足です。」

うん、満足だ。
だってあの先輩が今ここに居てくれる。
娘とか思ってもらえて。
まぁ、それはあんまり嬉しくないけど…
でも、それだけ仲良くなれたってことだから

想像してたよりも幸せになれた。

「俺のこと嫌いなの?」

心地のいいテノール声で、
そういう先輩は少し泣きそうに見えた。

なんで先輩が泣きそうなんですか。
期待させないでください。

「なんでそうなるんですか。」

思ったより低くなった声に驚きながら
先輩を見つめる。