「俺を殺す気かよ」


先生はライターからシュボっと火を出すと、わたしにそう言った。


「え」


「こっち来い」


先生が持っているのはライター。
確かに、先生を攻撃することになる。

先生の隣に移動した。


カチッ


「なかなか点かねえな」


花火に火を点けるだけなのに、どうしてこんなにドキドキするんだろう。


花火を持つてが微かに震える。


「動くなって」


震えるのは先生のせいなのに、何を思ったか、手に手を重ねた先生。



─ 先生こそ、わたしを殺そうとしてるんじゃないの…?



「あと、ちょっと」



このドキドキが伝わらないように、わたしは先生に手を掴まれたまま、花火の先端だけを見つめた。