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ブ─ ブ─ ブ─ ブ─



真夜中。

くぐもった音に気づいて、手探りで携帯をつかまえる。



暗闇の中、光るディスプレイは《通話中》と表示されていた。



曖昧な意識のまま、携帯を耳にあてる。



「…しもし?」

「美月?」

「…せ…んせ?」



確かに先生の声が聞こえる。



「明日の補習、来いよ」

「え…な…なん で」



少しずつ意識がはっきりしていく中で、会話は進んでいく。



「…でもしねーと会えねーだろ」

「う ん」



そこで、会話と記憶は途切れた。