やましいことをするつもりはない。
でも、何もしないとも言い切れない。


「おまえ、ちょっとこい」


顔を上げた美月の向こうの、ドアが目に入る。
さっきみたいに誰か来られたらたまったもんじゃない。


「あ、その前に鍵。」


「か、鍵?」


いちいち反応する姿に、また可愛いと思う。


「昼間っから取って食ったりしねーから」


言ってはみたものの、慌てる美月に気持ちが揺らぐ。
自分の発言でくるくる変わる美月の表情。
もっと見たくて邪心が大きくなる。


美月はカシャンと鍵をかけると、元の位置に座った。


いや、そこ座るか?


そういうところにやられてることをわかってないから、困るわけで。


手招きすると、ぎこちなく歩き、俺の前に立つ。
ぎゅ、とスカートを握りしめる美月に、いつかを思い出す。