「なになに美月がどうしたの?」


おそらく物理をとっていないだろう女子が話に加わった時、近くの女子が俺を引き戻した。


「有馬先生、聞いてるー?」

「計算中」


俺はそう答えると、加速度の計算を始めるふりをした。


答えなんて最初から解ってんだよ。


だけど。
俺は今、図書館で繰り広げられている途中過程が気になって仕方ない。


「すごい、正解」


白紙に書いた答えを解説付きで差し出すと、女子生徒は目を見開いた。


「わかったか?」


「わかった!」


とりあえず、短髪の名前は隼人ってことは理解した。