「うまい?」 先生は普通に味の感想を聞いてくる、けど。 「…っ」 それどころじゃなくて。 今、わたし、先生に食べさせてもらった? 先生の指先に残された包み紙を見て、 口の中に広がる甘い味を確かめて、 状況を理解するので精一杯。 こく、り。 よくわからないまま、チョコレートを飲み込むと、やっと答える。 「おい、しい、です」 「そっか」 先生は、食べる様子はない。