「わかった。いや、だからってな…」

「わかってる!」


思わず、声が強くなる。


「そういうわけにいかないって。わかってる。けど。」


先生は目を見開いて、わたしを見る。


「だけど。もう少し先生といたい。」


勢いよく飛び出した言葉に自分自身が驚いて。

でも、本心だから。

先生をじっと見つめる。

そうしたら、先生は下を向いて、少し黙って、無表情でつぶやいた。


「…朝には送ってくから。」

「うん。」


困ったような、怒ったような、あきれたような、なんともいえない表情をした先生が、わたしの頭にポンと手をのせて、前髪をくしゃ、と触れた。


…嬉しい。


そして。

「とりあえず、ここじゃ身体痛いから。」

そう言って、ひょいとわたしを持ち上げた。