どうもかみ合わない。

いつも、こうだ。

見て見ないふりをすれば
すむものを‥つい、口から
出てしまう。

それも、いつも肝心なことは
見て見ないふりをしていて
どうでもいいような事だけ、
言いやすいことだけ注意する。

わかってはいるつもりなの
だが‥自分自身のことで
精一杯で、なかなか
晴香の気持ちをおもんばかる
までに至らない自分に
イライラする香織だった。

ほんとは、もっと色々な事を
話したい。してやりたい。

でも‥
『理想の母親になんて絶対
なれないわ‥無理よ‥。』

そう、虚しいひとり言が
ため息とともにこぼれていた。