少ししたら、私が夏休み明けに通うであろう、高校が見えてきた。

「うわー、意外と大きいな…」
ボケーっと高校を見上げてた。

もっと、近くで見てみたい。
好奇心には勝てず、さっきより速度を上げて、角を曲がった。
正面から見る学校は、もっと大きなものに思えた。

あれ?教室電気ついてる…

補習かな?そんな事を思っていると、校庭から猫が出てきた。
「ちょ、嘘でしょ?危ないっ!」
引いちゃうよ!
もう思考回路ぐっちゃぐちゃ!
突然のことだったから、とりあえずブレーキ。
以外と、スピードが出ていた自転車は急ブレーキをかけた衝撃でガタンッと横に傾いた。

それと同時に私は落ちてしまった。

「⁈…いったぁ…あ、猫大丈夫かな…」

眼帯してるから探すのが困難。
周りを見回す。誰もいないことを確認した私は、スルリと眼帯を外した。

猫は、もう目の前をも歩いていた。
よかった…もう、ほんとビックリしたよ…

この時、ある事に気付いた。

学校の前だよ、ここ!恥ずかしいよ!
ちょっと目線を上に移してみる。

ーぱち

あ…なんか、男の子と目があった…
あの子、知ってる気がする…
あれ…誰だけ、思い出せない…

「あぁ!お嬢様、ご無事ですか?眼帯はどうされました?」
いきよいよく現れた付き人。

せっかく、思い出そうとしていたのに。
「大丈夫、帰りましょう。」

そう言って、倒れた自転車を起こし再び自転車にまたがって、この場を去った。