何故、そこまでしなくてはならないのか？

それは、私が『虹彩異色症』という病気だから。
左の目の色が違うんだよね、私。
生まれつき持つものだった。
その珍しさから誘拐されそうになったことが何度もあった。
それで、私は小さい頃から左目を隠すようにして生きてきた。
別に、視力には問題ないから、そんなことしなくてもいいはずなんだけど。

でも…
父は言った、「その目を他人に見せてはいけない」と。
母は、付け足すように「大切な人ができたら見せてもいいわよ」と、微笑んで見せた。

見せてはいけない、私の目。

それを守るべく、付き人がつくのは当然のこと。