「…浅倉くん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」



私の言葉に彼はピクッと肩を動かした。



「…浅倉くんと初めて会ったとき、浅倉くん、何か言いかけてたよね?…ほら、お兄さんが何とかって…」



彼は少し表情を曇らせる。




…まずいこと聞いちゃったのかな?




不安になる私に彼は、



「……なんでもない。気にしなくていいから」



そっけなく言って、顔を反らした。



「………そっか」






夕暮れ時、窓に反射して映る彼の悲しげな表情が、私の心に何時までも刻み込まれることとなった。