春は嫌いだ。浮かれきった街に溢れる人。鼻の奥がツンと痛い甘ったるい匂い。おまけに花粉症でしんどい辛い。そしてそんな春をもっと嫌いにさせる入学式。新しい制服は糊付けと肩パットばりばりで肩が凝るし、人見知りで友達なんて出来るわけない。しかも方向音痴だから現在進行形で迷子なう。
「学校どこ?」
そうこうしているとやっと見つけた私が通う学校を指す看板を発見。指示通り角を曲がると…
「…何これ」
表れたのは壁と言っても過言ではないほど急な坂道。
「待ってよ…これ毎日登るの?」
目頭が熱くなるのを感じたが、上を向いてそれを冷ました。
「自分で決めたんだろ。」
そういって歩き始めた。