恋かと思ったら、即失恋してしまった。
そう思った恋は私の中で終わらなかった。
あの日から、間島とはちょっとした会話をするようになった。
しかし、席替えがあり、私と間島の接点はなくなった。
風のうわさで間島と彼女が別れたことを知った。
間島を見つめることは減ったけれど、視線が気になって振り向くと、いつも彼がいた。
それだけでよかった。
そんな風には、思えない。
欲張りになったなと、杏は思う。
夏が終わり、肌寒い季節になった。
あと数か月で進級、クラス替えだ。
冬休みに差し掛かるころ、杏は靴箱に不思議な物体を見つけた。
(消しゴム?)
真新しい消しゴムがシューズの横に置かれていた。
それは以前、杏が間島の足元に落とした同じ種類のものだった。
セロファンははがされていて、消しゴムとケースの間になにやら赤い印が見える。
ケースを取りはずすと、赤字で書いてあった。
「好きだ」
それを見て杏は走り出した。
(間島。間島、好きだよ、間島くん。)
教室に行くと、杏の席の近くに間島がいた。
口の端を上げて微笑んでいる。
「好きだ。」
そう言われた気がした。
涙で前が見えなくなった。
そう思った恋は私の中で終わらなかった。
あの日から、間島とはちょっとした会話をするようになった。
しかし、席替えがあり、私と間島の接点はなくなった。
風のうわさで間島と彼女が別れたことを知った。
間島を見つめることは減ったけれど、視線が気になって振り向くと、いつも彼がいた。
それだけでよかった。
そんな風には、思えない。
欲張りになったなと、杏は思う。
夏が終わり、肌寒い季節になった。
あと数か月で進級、クラス替えだ。
冬休みに差し掛かるころ、杏は靴箱に不思議な物体を見つけた。
(消しゴム?)
真新しい消しゴムがシューズの横に置かれていた。
それは以前、杏が間島の足元に落とした同じ種類のものだった。
セロファンははがされていて、消しゴムとケースの間になにやら赤い印が見える。
ケースを取りはずすと、赤字で書いてあった。
「好きだ」
それを見て杏は走り出した。
(間島。間島、好きだよ、間島くん。)
教室に行くと、杏の席の近くに間島がいた。
口の端を上げて微笑んでいる。
「好きだ。」
そう言われた気がした。
涙で前が見えなくなった。