「タマゴの味つけのせいで、俺は貴重な空き時間を潰され、お前は、姫花に説教されるんだよ・・」

と潤也は笑い席を立った

「ありえね~ 姫花、どんなんだった?」

と大吾も席を立った

「・・あれはヤバイ! かなり怒ってる・・ 姫花、咲ちゃんの事大好きだもんな~」とからかう潤也

「はぁ~ っていうか潤也、お前さっき、咲のこと咲って呼び捨てにしたろ?」

「・・小っちぇ~ そんなん気にすんの? だからタマゴでケンカすんだよ!」

と二人はワイワイいいながら教室を出て行った

そして、一人残された琴乃

大吾とは、番組で話したこともあったし、大倉姫花には負けるけど、藤田咲よりはかわいいと自分で思っていた

だから、ふたりがケンカしているのを見て、チャンスだと思った

それなのに、自分の存在さえ認識されていなかった

そして、存在さえ否定されてしまった

「・・・・・・・」

ひとりじぶんの席に戻る雨宮琴乃をクラスメイト達は、哀れむ眼差しで見ていたのだった

そして・・

「だ~い~ご~!!!」

「・・・・」

撮影所の片隅で姫花に睨まれる大吾の姿があった・・

短編集14 【完】

2009.1.6