琴乃は、まさか「誰」と言われるとは思っておらず、大吾に返す言葉をなくしていた

すると廊下が急に騒がしくなり、黄色い歓声が聞こえてきたと思ったら

「大吾!!」とかなり不機嫌な潤也が教室に顔を見せた

「・・・なんだ、その格好・・」

そう潤也の服装は、学ラン・・それも短い・・

「・・うっせーな!! 衣装だよ!!」

さらに不機嫌な潤也

「お前、なんで衣装着たまんまでガッコ来てんの?」

と呆れ顔の大吾

「ったく! 誰のせいだと思ってんの? 咲だよ!! 咲になんかしたのか?」

思いもよらないところで出た自分の彼女の名前に眉をしかめる大吾

「こっちは、撮影中なんだよ! せっかく空き時間が出来たってのに・・・」

と不満げな潤也曰く、撮影の空き時間に急に姫花が大吾連れて来いと息巻いているらしい

「なんで、姫花が?」

と困惑気味の大吾

「あんなに姫花怒らせて・・ あの様子じゃ、咲ちゃんがらみだろ~と思ってね~ っつーか、マジやばいから! すんげぇ怒ってるから、覚悟してった方がいいよ?」とかなり脅す潤也

「・・・・・」

大吾の表情はかなり強張っている

「違うんです!! 大吾くんは悪くないんです!!」

遠巻きに見ているクラスメイトとは違い、さも当事者のように大吾の隣に座っていた琴乃が声を上げた