その声に一瞬顔をこわばらせたけど、くやしいから笑顔で振り返ってあげたの

「咲! 見たぞ!」と近づいてくる石田の横にはあの日の女

「私も!! すっごいかわいくなったよね~ 私、クラスの子に友達なんだって自慢してるの~」

「俺も~ 元カノがモデルなんて、超自慢! っていうか元サヤとか考えない?」

そのふたりの言葉に、唖然としちゃって、言葉が出ない・・

その間に勝手に写メとられたり、ふたりでベラベラ喋ってるし・・

そこに

「咲? 何してんの? 」

タイミング良く登校してきた潤也君

「あ! おはよ」

潤也くんは、目の前にいる二人に一瞬だけ視線を落とした

「知り合い?」って聞いてきたんだ

「ん~ 知り合いっていうか・・ なんか私のファンなんだって」って石田とあの女に笑顔を見せたの

「ふ~ん・・ そっ っていうかさ~ 午後からの撮影現場一緒だろ? ちょっと早く抜けよーぜー」潤也くんはそのまま歩き出したから、私も潤也くんの後を追うようにして二人はそのまま置いてきたんだ

チラッと後ろを見たら、そのまま固まってるし・・

かなりの優越感

あとから知ったんだけどね・・

その後ろから姫花ちゃんが登校してきていたみたいなんだ

そして、二人に

「あんな仕打ちしといて、今更話しかけないでね」

って言ったらしいよ

大ちゃんに話したら、「姫花の誤算は俺等の事だけだったな~ それにしても、敵にまわしたくね~」って

誤算って? 何の計算だったのかしら?

短編集11 【完】

2008.11.11