携帯を覗くと、潤也からだった

『少しは残しとけよ!!』

ふ~ん・・ 賢次と潤也、現場一緒なんだ・・・

「なんか、潤也も来るらしいよ?」ともう食べ終わったのか、箸を持ったまま空を見ている姫花に話しかける

「・・・あと10分で昼休みも終わるんだけどねぇ~」と姫花は笑った

「明日も弁当作ってやれば?」と大吾はペットボトルのお茶を手にとった

姫花は、空になった弁当箱を片付けながら、「そうだね~」なんて暢気に答えている

そんな時だった・・背中からなにやら聞こえてきたのは・・

そう・・

俺のかわいいハニーちゃん

藤田咲との出会いだった

その時は、姫花のおせっかいにつき合わされるのか~ぐらいにしか思わなかったんだけど、キャサリンのゴットハンドで、垢抜けた咲

姫花の雰囲気に後押しされるように、どんどん自信をつけているのが手に取るようにわかった

そして、最初は姫花の輝く光で咲も輝いていたんだろうけど、気づいたら、自ら輝くようになっていたんだ

姫花やりんと一緒にいるようになって、いい刺激を受けたようで、咲は内面も変わっていったんだ・・


~:~:~:~:~:

「お~い?」

「大ちゃ~ん? 起きてますかぁ?」

俺の頭をペシペシ叩くヤツ・・

「目ぇ開けたまま寝れるかっつうの!?」と大吾は姫花の手を掴んで、叩いている手を止めた

「だって、さっきから箸とまったまま、ボーっとしちゃってさ~」と姫花

そう、あの日以来の姫花と二人での昼飯 それも、姫花の弁当 そんであの場所・・

俺と咲の場所・・

始まりの場所・・


短編集9 <完>  2008.10.30