とりあえず冷静に考えてみよう。
先生の家に行ってでも今日小説を受け取るべきか、明日まで待って小説を受け取るべきか……。

頭の中に天秤を浮かべる。
天秤の傾いた方が自分の意思として尊重しよう。
博紀は心の中でそう決めた。
そして今、二つの重りが乗せられた。

……。

予想外にあっけなく勝負はついた。
重りを乗せるや否や、片側に思い切り傾ききったのである。

初めから勝負はきまっていたのかもしれない。
それほどに思いは強かったのだろう。

博紀は山本先生に言った。

「よろしくお願いします」