「私のため..?」
「家族と離ればなれにさせたのも、名前を変えるようにお願いしたのも」
「どういうこと?」
「家族たちはあなたのことが大好きだったの。でも、記憶をなくしてからあなたの家族たちはショックでなにも考えられなくなっていた。こんな気持ちじゃあなたを支えることができないと思った家族たちは、弥生先生がいる施設にあなたを預けたんだと思うの」
「そうだったんだ....」
「名前を変えるように言ったのもそう。家族たちはもうあなたを支えることが難しいと思ったから、あなたには新しい家族と新しい道に進んでほしいと思ったんだと思うの」
はじめて聞かされた本当の家族のこと。
家族たちは私のことを嫌っていたわけじゃない。
むしろ、愛されていたんだ。
私のために家族は私を手放したんだ。

