「いいですか、姫君。和歌を覚えることは大切ですのよ。」

藤一条は表向き、桜と若草の教育係であられるので、早速、和歌について教えられた。

「聞いてますの、桜の君、若草の君!」

姫君がバン、と扇で床を叩かれたので、二人は驚き、怯えた。

「だって、つまらないもの。こんなの覚えたって。」

若草がそう素直に言うのを聞いて、ムッとされた。

「よろしくて、貴女達も上流の姫君ですのよ。教養も無い、うつけ(馬鹿)だと陰で罵られても、宜しいのですか?」