姫君がぐったりとなさり、臥せりがちになっておられた。

「ねぇ、和泉、逢鈴、よくお聞き。私、天に昇ると思うわ。勿論、死ぬ訳じゃないの。母様みたいに、消えてしまうのよ。サッとね。」

「そんな、不吉なことを、仰いますな。」

「そうです、逢鈴の君の申すとおりですわ!姫様、病は気から、ですのよ、お気を確かに。心を強くお持ちになって!」

「北の方がいなければねぇ。このお邸に来てから、罪悪感から、弱ったのね。何故かしら、琵琶が弾きたいの。お願い、持って来て。」

はい、と逢鈴は母君から伝わった琵琶を持ち、姫君の前に参る。