女房達は、貴久が息絶えていらっしゃるのを、女房達は見て、慌てていた。

「貴久が?」

北の方は倒れ、桜はそれに加え、恋煩いで病に臥した。

姫君は、心が痛ましく思われたのか、一条のお邸に和泉と逢鈴を連れて去った。

「姫様、宜しいのですか?」

姫君は母君の御遺品だけを持っていかれた。


長いか長くないのか、それから半年が経ち、北の方はすっかり回復し、姫君は逆に弱ってしまわれた。

(辛いわ。あの時、何故薬湯を飲まなかったのかしら。もしかしたら、死ねたかもしれないのに。)