「今まで、有難う。そして、こんな我等が運命は、哀しいよ。ごめんなさい。いくら謝っても、足りないよ、きっと。」

姫君も涙を流されて、それを拭う間も無く、いいえ、と首を振られた。

「謝るのは、此方よ。私がこんな人ではなかったら、貴方の姉ではなかったら、そう、何度も思ったわ。叶うはずもないのにね。ごめんなさい。そして、有難う。」

貴久は目をつぶられて、さあ、と急かした。
姫君は泣きながらも、薬湯をお口に注がれた。

「眠くなって来た。それに、何だか怠い………薬湯の効果か。」

「そうね…………そうだわ…………安らかに、お休みなさい、貴久。」